Story

就職を目前に違和感のあった男性性を捨て、これから始まる長い社会人生活を女性としてやっていこうと決断した楓。幼い頃から夢見ていた建築業界への就職も決まり、学生生活最後の数か月に許されたモラトリアム期間に、楓は女性としての実力を試そうとするかのように動き始めた。

 

ビューティーコンテストへの出場や講演活動などを通して、楓は才色兼備のトランスジェンダー女性として少しずつ注目を集めるようになる。メディアに対しては、自身が活躍することでトランスジェンダー全体の可能性を押し広げたいと語る楓だが、その胸中には、父親の期待を受け止めきれなかった息子というセルフイメージが根強く残っている。社会的達成を目指す野心的なトランスジェンダー女性と、自己評価の逆転をひそかに願う息子。この二つの間を揺れながら、楓はどんな女性像をつくり上げていくだろう。 

これは、いま話題の彼女が『楓』として誕生する瞬間を捉えた、現在進行形のドキュメンタリーである。

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Trailer

 

Cast

畑島楓(a.k.a. サリー楓)

1993年、京都生まれ。8歳の頃より建築家を目指す。2017年まで男子として過ごし、現在は女性として慶應義塾大学に通う傍ら、モデルとしても活動。設計競技、活動等で多数受賞。建築家になる夢を叶えるため、2019年より日建設計に入社する。

西村宏堂

浄土宗僧侶であり、グローバルに活躍するメイクアップアーティスト。LGBTQ当事者として、啓発活動も行っている。

西原さつき

日本のトランスジェンダー、女優、モデル、タレント。男性の女性化を支援する「乙女塾」の創立者、代表講師。

JobRainbow

「すべてのLGBTが自分らしく働ける社会の創造」を目指し、社会課題をテクノロジーで解決するソーシャルベンチャー。

はるな愛

日本を代表する「ニューハーフ」タレントであり、実業家としても活躍。ミス・インターナショナル・クイーン2009優勝。

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Executive producer

 

スティーブン・ヘインズ

アメリカサンフランシスコ出身。ダイアナロスから宇多田ヒカル、平井堅、DCTなど海外国内問わず共演多数。TV、映画、CM、雑誌等で活躍するマルチタレント。 世界一の日本人女性を3名排出したビューティ界のカリスマでもある。(ミス・インターナショナル吉松育美やはるな愛、元ミス・ユニバースパフォーミングパートナー)

現在、世界トップ5のビューティコンテストであるMiss Supranationalの日本大会を主宰 し、ナショナルディレクターも務める。ヒルトン東京などのトレーニングが TVで取りあげられたり、明治大学や文化服装学院などで、就職活動へ向けた”第一印象”や“Smile”の創り方など、若手の育成にも精力的に取り組む。

 

Director

杉岡太樹

神奈川県相模原市出身。School of Visual Arts(ニューヨーク)にて映画製作を学んだ後、日米で異例のヒットとなった『ハーブ&ドロシー』などの制作・配給に参加。2010年より拠点を東京に移し、「脱原発デモ」の萌芽を追ったドキュメンタリー『沈黙しない春』で2012年に長編映画デビュー。2015年、参議院選挙に立候補したミュージシャン・三宅洋平の選挙に密着した長編映画『選挙フェス!』が全国劇場公開された。

 

Director's statement

長い友人であるスティーブン・ヘインズから本作の製作を持ちかけられた時、正直に言えば、全く乗り気でなかった。トランスジェンダーの女性を撮ることは、ポリティカルコレクトネスに縛られて自由で正直な創作が難しいのではないかという危惧が小さくなかった。

 

今、東京ではLGBTQをサポートしようとするムーブメントが勃興している。しかし、まるで海外から来た最新トレンドのように、またはイデオロギー論争における踏み絵のように、サポートの表明を正義とする空気が広がる一方で、当事者の様々な実情はあまり伝わってこない。

 

楓は、トランスしてからたった1年(撮影開始当時)、男性から女性へのトランジションの真っ只中にいた。彼女の姿は、メディアで見慣れた奔放で明るいLGBTアイコンたちとは異なる。ロールモデルに憧れることで己を奮い立たせているような、脆くて危うい自我が揺れるその姿に今の東京を生きる若者のリアルを感じ、カメラを通して向き合いたいと思った。それは「LGBTQ支援」なんて高尚な理由からではなく、ただただ自分がわからないものをもっと知りたい、という好奇心だった。

 

僕は差別的な感情を持っている人間だ。それはこの映画を作り終えた今も変わらない。僕が、楓が望むように彼女を見ているかはわからないし、取り繕うのが上手になっただけかもしれない。撮りたかったことが全て撮れた、とは言い切れない。それでも、誰かを糾弾したり賛否の二項対立に陥るのではなく、本当の意味での多様性を考えるきっかけをこの映画で作ることができたとしたら、それこそが、楓と僕のプロセスを形に残した唯一の希望に感じられる。

 

この映画は、画一的に掲げられる美辞麗句としての「ダイバーシティ」への、せめてもの抵抗。本当の多様性は、醜く、鈍く、歯切れが悪いはずだ。

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Music

tickles

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Takahiro Kozuka

yutaka hirasaka

Ally Mobbs

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Lil'Yukichi

ruka ohta

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Contact

 

制作・監督・撮影・編集:杉岡太樹

エグゼクティブプロデューサー:スティーブン・ヘインズ

監督助手:新行内大輝

撮影:新行内大輝、小禄慎一郎

リレコーディングミキサー:伊東晃 

テキスト:舩木展子

ヴィジュアルデザイン:ヒノキモトシンゴ

英語字幕:キャット・ジョプリン

 

105分/日本語・英語/カラー/ ©2020 'You decide.''